第13回研修会 報告

第13回研修会 報告

養浩館庭園
庭園は大きな池を中心とした回遊式林泉庭園である。広い水面に対して立体的な変化をもたせるさまざまな工夫がなされている。岸辺の周遊や舟による観賞、また屋敷内からの眺望も考慮している。
池越しに屋敷を眺める
屋敷内から池を眺める

料亭開花亭sou-an 設計:隈研吾
瓦屋根のある重厚な旧館に対して、軽やかなガラスボックスを対比させている。ガラスボックスはクサマキの木で作られたランダムな格子で覆われ、そのランダムな格子パターンは、室内のデザインにおいても反復されている。このパターンはランダムでありながら、日本の建築や着物に用いられた伝統的なパターンも想起させ、また建築構造的にも建物を補強する役割をはたしている。


外 観

室 内

福井市美術館 設計:黒川紀章
市民公園に建つ美術館である。彫刻家高田博厚氏のほぼ全作品のコレクションを常設展示する美術館であるため、透明感のある美術館が求められた。周囲の公園の起伏のあるうねりに合わせて、ダイナミックなフラクタル曲線で構成されている。


外 観

受付ロビー 

福井県立図書館 設計:槇 文彦
福井市郊外の田園風景の中にあり、すぐ近くには足羽川が流れ、恵まれた自然に囲まれた庭園図書館を目指している。開架閲覧はガラスカーテンウォールで覆われたワンフロアーの空間で、内部と庭園どの連続性を重視している。閲覧部の大部分は外周部に配置されており、庭園の広がりを感じながら閲覧し、合間には窓越しに庭、遠くの山並みを楽しみことができる。


外 観

中 庭
研修会を終えて

4施設を訪ねて共通していたことは、建物単体の美だけでなく、建物内と外の連続性を重視していると感じました。建てられた時代と用途に応じて、内と外との境界、開口部の形態は、縁側と障子、カーテンウォールと様々であり、その距離感も建物に応じて異なっており、その建物が目指しているものやそれぞれに強い意志が感じられました。
建築はその単体の存在だけでなく、周辺との調和、内と外の関係性の普遍的な美を感じ、その重要さを体験しました。

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